地震発生後3日目の月曜のことだった。70代と思われるご婦人が来院された。顔面蒼白で目もくぼみ疲労困憊のご様子。よほど調子が悪いのか言葉も出ない様子に、ベッドに案内しようかと話しかけた。
「私は大丈夫・・・
処方せんなしで薬購入可能に 厚労省、被災者限定で 2011/3/16
厚生労働省は東日本巨大地震の被災者が医師の出す処方せんを持っていなくても保険薬局で薬を購入できるようにした。高血圧や高脂血症など慢性期の病気を抱えている患者が対象。被災地域では交通網が分断されており、通院の難しい患者の手持ちの薬がなくなる事態が想定されるためだ。
被災者は薬局の窓口で薬の使用履歴をまとめた「お薬手帳」や服用していた薬の包装紙などを示せば、処方せんを持っている場合と同じように薬を購入できる。
日本経済新聞 2011/3/16 17:25
・・・息子が宮城に行ってる」
「この地震で連絡がつかなくなった。本人には持病があって薬りをもらっている、しかしもう無くなってるはず。薬りを、どんな薬でもいいからください」
そう言われて簡単にお出しするわけにもいかない。特例措置にもルールがある。原則は本人からの訴えでないとダメだし、居住の住所が被災地にないとだめ。仕事や旅行でたまたま被災した人は現時点では対象になってない・・・至急改善してもらわないと!・・・その息子さんというのが、どうやら売薬さん=「富山の薬売り」さんだ。住所は富山だ。そうなるとこの特例措置の対象外だ
また、そもそもその息子さんは当院の通院患者ではない。その母が言うには、私は足が悪くて息子の通院してる市の中心部の病院まではどうしても行けない。だから近くにあるこの診療所にきた。「どんな薬りでもいいから、、、」出してくれと言われも、、、お出しできません。一旦はお引き取り願った、、、ゴメンね、力になれなくて
再度来院された。その手には薬の説明書らしきものを持っておられる。お薬り手帳など薬の服用状況がわかれば投与してもいい、という特例措置だが、代理受診はさすがに無理だ。それくらい目をつぶって処方を、、、息子さんの状態が安定してるかどうかもわからないし、持ってきた薬の説明書の薬が現在服用している薬なのかも確認できないから、、、やっぱ処方は無理。それに
とにかく薬を渡したいと言っても、どうやって宮城へ行くつもりか
問いただすのもツライことだが、聞いてみた。災害発生から3日たっても被災地へのアクセスは困難・・・当院からも支援物資を送り出したが山形までだ・・・詳しい情報は入ってこない、被害は広がっていくばかり、、、そんな中で、私は足が悪くて、というアナタはどうやって行くつもりか、つい詰問するかのような口調になってしまった
連絡が取れない息子さんはどこにいるかわかるのですか?
・・・無言
私ら(医療関係)だって被災地にはまだ入れないんです、
・・・無言
交通も完全に遮断されてるようですし
・・・無言
奥さんが入れるとは思えません
・・・無言
そのご不自由なお身体でどう探されるつもりですか!?
這ってでもクスリを持って行きます
絶句。 母は強し
しかし、お薬はだせません・・・こちらが声が消え入りそうだた・・・ふり絞るように答えていました